一富士二鷹三茄子② [雑感]
この写真は、私の祖父(父の父親)。明治38年生まれ。
ぼおっと眺めていたパソコンのデータに入っていた写真です。
(弟が実家にある古い写真をデータにしたものをコピーしてくれました。)
じいちゃんの写真から「茄子の砂糖漬け」を思い出しました。
(「一富士二鷹三茄子」の三つ目はじいちゃんの思い出の一つです。)
半世紀以上も昔、まだ祖父が健在だった頃、
お正月前になると関東の方から「茄子の砂糖漬け」が届くのです。
漢文の教師だった祖父の教え子の方が毎年送ってくださっていたのです。
関東のどこからだったか……忘れました(T^T)
大きな茄子ではなくて、小さい茄子の砂糖漬け。
木の箱を開けると、小さい茄子に白いお砂糖がたっぷりまぶしてあるのが
びっしり並んでいる……「今年も来た!」と嬉しかったですねえ。
祖父は孫を三人、そばに座らせると手のひらに一個ずつのせてくれる。
三人の子どもが「ちょうだい」をして並んでいるのを
じいちゃんはニコニコして見てましたね。
大事に少しずつ食べたのですが、
その甘さと砂糖が絡んだ茄子を食んだ感覚は忘れがたい思い出なのです。
その頃の祖父。猫好きでした。
茄子の砂糖漬けが家族みんなに配られると、
箱は厳重に蓋がされて仏壇に置かれるんです。
二つ目を食べたいのにお許しが出なくて、仏壇をうらめしく眺めた記憶が……。
盗んだ記憶もないけれど、二つ目をもらえた記憶もないのはなぜ?さて。
毎年一つだけの甘いお菓子の記憶はとっても鮮やか。
今調べてみれば候補はいくつかあり、取り寄せてみようとは思うのですが、
果たしてあのときの喜びが味わえるのか……それはわかりません。
最初の写真について付け加えますと……。
祖父は旧制竹田中学卒業後、神宮皇學館に学びました。
最初の写真は、たぶんそのとき、
一緒に学んだ仲間達と写真を交換したものではないでしょうか。
同じようにちょっとかっこつけた青年たちの写真がたくさんありましたから。
真ん中が祖父。
祖父はこの後、それはもういろいろと苦労を重ねて
晩年はいつも気難しい顔をしていたのですが(中身は面白い人だったんですよ、たぶん)、
若い頃の写真は
「夢」を追っているようなとても素敵な表情だなあと
しみじみ思ったことでありました。
(大正時代のかっこつけた青年たちの写真は本当にいい!)
おまけ。
祖父関連のデータの中に、「あっ!富士山の写真じゃ!」
今となっては祖父がなんで富士山の写真を持ってるのか知るよしもなし~。