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羅漢さんに会ってきた~山口小旅行 [旅]

11月19日日曜日。
私どもは山口県立美術館におります。
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美術館は初冬の木立に包まれた閑かな場所にありました。
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美術館入り口の大きな案内は五百羅漢の存在感を醸し出していて
ここからすでに見応えを感じます。
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頭から水を出している羅漢さんは、飢え渇きに苦しむ生き物を救っているのだそう。
その奥は、地獄の業火に風を送り、灼熱の苦しみを和らげている羅漢さん。
一番大きなのは、鏡に釈迦如来のお顔を浮かび上がらせる羅漢さん。

野に座す石の羅漢さんとはずいぶん違うようです。
どんな世界が待ち受けるのかドキドキです。


間もなくMさんがいらっしゃいました。


Mさんの案内で
何と100幅、それぞれ五人ずつ描かれた五百人の羅漢
……幕末の鬼才である狩野一信の命を注ぎ込んだ大作を一挙に見てゆくのです。

10幅ずつ10のテーマに分けられています。
人間くさい羅漢さんの生活から、六道を巡り、神通力を見せ、人々を救済し
……果ては四大大陸へと世界は広がります。

エネルギッシュな構図と色遣い、人物の表情の豊かさ、微細な着物の柄や線、
描かれる植物や生き物の多様さ、その風景の奇抜さ
……こんな世界を私は今まで知りませんでした。
どうか、狩野一信で検索し、その画像を一度眺めていただきたいと思います。
私の拙い表現では、彼の傑作を表現することは不可能です。


次から次へと繰り広げられる奇想天外な世界。
よく見ようとして、何度展示ケースのガラスにおでこをぶつけたことか。
これは一度観るだけでは惜しい。
近ければ休みごとに通いたい!!


Mさんは見るべきところをきちんと示してくださいますし、
質問にもわかりやすく応えてくださいます。
Mさんという最高の案内を得た私どもは、本当に幸せでした。

Mさんが「この辺りから絵に元気がなくなるよ。」とおっしゃったのは、
70幅をこえた頃でしょうか。

あまりにこの作品群に心を打ち込んだ狩野一信は命を細らせていたのでした。

最後の10幅は素人目にも明らかに一信とは違います。
弟子や妻が亡くなった一信の悲願を受け継いだといいます。


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図録を手に美術館を出ます。
この絵があれば、難しい説法も必要ないのではないかと思えました。
増上寺でどのような説法がなされたのか、聞きたいものです。


現実の世界は、穏やかでしかもキラキラ輝いていているのでした。
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……この連作に取り組む傍ら
一信は成田山新勝寺におさめた「釈迦文殊普賢四天王十大弟子図」も遺しています。
大きな大きなこの絵の前に立ったとき、東大寺三月堂に入ったときを思い出していました。


この後は、瑠璃光寺に向かいます。 
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コメント 2

ケース家 

楽しい旅行が出来ましたね(^^♪
美術館の木立が素敵です。
by ケース家  (2013-11-23 21:21) 

ちはやママ

>ケース家様

はい。とっても楽しい旅行になりました。
山口、きれいなよいところでした\(^_^)/
ここまでは、狩野一信。このあと雪舟編です。

バタバタして家におりませんでしたので、
今週は大人しくしております。海に行きたい……。
by ちはやママ (2013-11-23 21:43) 

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