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「風の靴」 [本]

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ふとした折に
こんな文章が目に留まった。つい、最近のこと。


       ……

      「シート、ひけ!」
      湾の入り口のテトラポッドに近づくと、風間ジョーが、明るい声で指示を出した。
      湾を抜けたら、エンジンを切って、帆を上げるのだ。

      (中略)

      悪い風はみんな、風の神に袋に詰められたような朝だった。
      アイオロスはみごとに風をつかんで走っていた。まるで風の靴になったように。
      風の靴は、軽々と海を駆けていった。
      ずっと駆けていった。


      ……


あれ、これ、ヨットの話だ。
そのあとも、「スキッパー」や「クルー」、「コックピット」などの言葉が出てくる。
読みたいと思ったのは、
“THE WHY OF THE WIND”という詩の一節に惹かれたので。

朽木祥という作家の「風の靴」という作品。

早速Amazonに注文して取り寄せた。
明るい海を駆けるヨットの表紙絵。
クルーザーとディンギーが描かれた扉。
そして、A級ディンギーとクルーザーの用語解説。
……児童文学には珍しいんじゃないかなあ……。


少年少女向けにこんな作品もあったのだと
久々にワクワクしながら読んだ。

(ヨットのカタカナ用語がふんだんに出てきて、
 ヨット初心者の私は、状況がわかるとうれしくなってしまうのだ。)

ほんの三日間だけの地味な話だけれど、
一気に読み終わると、みずみずしい感動が残って、
ハーバーに戻ってきたときのような心地よさがあった。

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あとがきに
「最後のページを閉じたら、海に出かけて行きたくなるような、
 あふれる光のなかに駆けだしていきたくなるような、
 そんな物語を書きたいと、ずっと考えていました。」
とある。
海とセーリングが大好きな人が書いた優しい物語。


海とセーリングが大好きな大人にもオススメの一冊。

       
暖かな陽射しの中で
ヨットが走り出すときの水音を想像すると
もう、海に行きたくてしかたがない。


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コメント 4

コック長

僕のヨットもの小説の始まりは岩波少年少女文学全集のアマゾン号とツバメ号です
読んでいると風を感じはじめ波音が聞こえだし潮の匂いが鼻をついてきます
風の靴、読んでみますね
ブルーノートは今日初乗りです
防衛大学ヨット部方式の救助訓練をする予定です
さてどうなりますものやら・・・

本年も宜しくお願いします
by コック長 (2013-01-20 04:36) 

ちはやママ

>コック長様

コメントをありがとうございます。

夫が福岡に行きましたので、今日は家で片付けなどしながら
のんびり過ごしております。
「アマゾン号とツバメ号」をアマゾンに注文しました。
海に行けないけれど楽しみが増えました。

さて、今日の海はどんな様子でしょうか。
防衛大学ヨット部方式の救助訓練……どんなことをするのか
とても興味をそそられます。
私は、ヒーブツーならやったことがありますよ。
(レース中に!!……赤白灯台の呪縛と我が家では呼んでいますが。)
by ちはやママ (2013-01-20 12:08) 

ケース家

風の靴とはうまい!!座布団10枚って冗談ですが、ヨット小説は珍しいですね(^^♪
by ケース家 (2013-01-21 14:54) 

ちはやママ

>ケース家様

子ども向けで、ヨット用語の解説のあるお話は珍しいと思いました。
しかも、作者は女性らしいのです。
どんな人か知りたくなりました。
by ちはやママ (2013-01-21 20:46) 

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