お臼様の物語② [ふるさと]
のどかな日曜日。
ふだんはこんなのが当たり前の風景。
でも、最近は線路沿いがなかなかにぎやか。「ななつ星」の通過!!
沿線は撮り鉄さんがいっぱい。
豊後竹田を10時ごろ発車し、次の停車駅はみえまち。
……
その三重町には「白山」という地名があり、そこは「蛍と大理石の里」という。
その辺のことをちょいと調べてみた。
「昭和初期から大理石を採掘した白谷には、大理石採掘の帳場が四つあり、一帳場には数名から一〇名ほどの山石屋がいた。表土を除去し、大理石の割れ目にヤを打ち込み、金てこや箱ジャッキでせり返して採掘した。良質の石塔用材を産出した高屋にも山石屋が数名いた。高屋の目ごま石の盤は大きいので、七尺物とか幅三尺物という特大の石材を切り出すことができた。」
「白山地区には、大理石製の餅搗き臼を所有している家がかなりある。大理石の臼は極めて珍しいが、大理石の産地にふさわしい。大理石は灰石より柔らかくて細工がしやすいという。中津方面からきた石屋は口が広くて浅い型、土地の石屋は在来型の物を作った。台付きと台のない茶碗型とがある。」
古い町誌の記録である。今は大理石は採掘されていない。
……
さて、「家で餅つきをしたい」という若夫婦の話にもどろう。
上の白山地区に夫の父の親戚があった。
いとこ会かなんかがあって、その席で「臼がほしい」と話したようである。
すると、いとこが「まかせておけ。」
後日連絡があり、「臼を複数注文するなら、作ってもよいという石工がいる。」とのこと。
早速、近所の人に話を持ちかけ、三軒が作ろうということになったらしい。
そして、大理石の臼は我が家にやってきた。
親戚の口利きということもあって、代金は米一俵ということであった。
餅つきに必要な道具も徐々に集められた。
新しい道具に心躍らせた記憶は、夫の脳裏にしっかりと刻まれている。
それから五十年あまり。
家族はもちろん、親戚や夫の友人、その家族……この臼で餅つきを楽しんだ人は数知れず。
毎年、年末の我が家は大賑わいであった。
嫁に来たとき、白い臼に私もびっくりした。
この辺りでは、だいたいが阿蘇の溶結凝灰岩を加工した臼であり、灰色のが主流だったからだ。
ざらざらしていて、「こどり」の手を傷めた。
実家のは年季モノだったから、搗いた餅に欠けた石が混じることもあった。
町の行事に貸し出すことも度々あったが、
ある日の事件を境に「門外不出」の事態と相成った。
……つづく。
ふだんはこんなのが当たり前の風景。
でも、最近は線路沿いがなかなかにぎやか。「ななつ星」の通過!!
沿線は撮り鉄さんがいっぱい。
豊後竹田を10時ごろ発車し、次の停車駅はみえまち。
……
その三重町には「白山」という地名があり、そこは「蛍と大理石の里」という。
その辺のことをちょいと調べてみた。
「昭和初期から大理石を採掘した白谷には、大理石採掘の帳場が四つあり、一帳場には数名から一〇名ほどの山石屋がいた。表土を除去し、大理石の割れ目にヤを打ち込み、金てこや箱ジャッキでせり返して採掘した。良質の石塔用材を産出した高屋にも山石屋が数名いた。高屋の目ごま石の盤は大きいので、七尺物とか幅三尺物という特大の石材を切り出すことができた。」
「白山地区には、大理石製の餅搗き臼を所有している家がかなりある。大理石の臼は極めて珍しいが、大理石の産地にふさわしい。大理石は灰石より柔らかくて細工がしやすいという。中津方面からきた石屋は口が広くて浅い型、土地の石屋は在来型の物を作った。台付きと台のない茶碗型とがある。」
古い町誌の記録である。今は大理石は採掘されていない。
……
さて、「家で餅つきをしたい」という若夫婦の話にもどろう。
上の白山地区に夫の父の親戚があった。
いとこ会かなんかがあって、その席で「臼がほしい」と話したようである。
すると、いとこが「まかせておけ。」
後日連絡があり、「臼を複数注文するなら、作ってもよいという石工がいる。」とのこと。
早速、近所の人に話を持ちかけ、三軒が作ろうということになったらしい。
そして、大理石の臼は我が家にやってきた。
親戚の口利きということもあって、代金は米一俵ということであった。
餅つきに必要な道具も徐々に集められた。
新しい道具に心躍らせた記憶は、夫の脳裏にしっかりと刻まれている。
それから五十年あまり。
家族はもちろん、親戚や夫の友人、その家族……この臼で餅つきを楽しんだ人は数知れず。
毎年、年末の我が家は大賑わいであった。
嫁に来たとき、白い臼に私もびっくりした。
この辺りでは、だいたいが阿蘇の溶結凝灰岩を加工した臼であり、灰色のが主流だったからだ。
ざらざらしていて、「こどり」の手を傷めた。
実家のは年季モノだったから、搗いた餅に欠けた石が混じることもあった。
町の行事に貸し出すことも度々あったが、
ある日の事件を境に「門外不出」の事態と相成った。
……つづく。
2013-10-30 23:15
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コメント(5)
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最後の一文で読んでた内容忘れました(^_^;)
次回を楽しみにしております(^◇^)
by ケース家 (2013-10-31 07:48)
以前、病院の餅つき大会用に古い石臼を寄贈していただいたことがあります。その直後、臼を出していただいたお家が全焼。なにか障りがあったのかと恐縮しました。臼を大切にしてあげてください。
by Daisy (2013-10-31 13:16)
>ケース家様
門外不出になったのに
お許しが出て、昨年の餅つきが実現しましたのは
ひとえにBOYCの皆様の「顔」がよかったから……みたいですよ。
詳細は次で(^_-)
>Daisy様
それはそれは……病院の皆様、さぞやびっくりなさったことでしょう。
餅つきは新年を迎えるための大事な行事ですから、
いろいろ縁起をかつぎますね。
丙午の日に餅つきをすると火事が出るとか、
29日はよいとか悪いとか……。
我が家の臼は家宝ですので、大事にしたいと思います。
by ちはやママ (2013-10-31 20:14)
石臼に染み込んだ歴史・・・
流れ者のわたくしめにはどこか羨ましい話です
大理石の石臼が欲しくなっちゃいました
もう手に入らないのかなあ
by コック長 (2013-11-01 01:36)
>コック長様
このあと書きますが、大理石は柔らかいのです。
でも、こどりの手に優しく、美しい臼ではあります。
山口県の美祢地方には、大理石の臼があったようですね。
石灰岩が変成したことを思えば、
山口には今でもあるのではないでしょうか。
コック長さんも初代のお家ですか?
そうすれば、我が家の臼のような宝物を
実は、もうお持ちなのでは?
by ちはやママ (2013-11-01 20:12)