お臼様の物語① [ふるさと]
昨年のクリスマスヨットレース。
そのあと行われた餅つき大会。
その中で大事な役割を担ったのが、我が家の大理石の臼。
なかなか立派な石臼とお褒めをいただいた。
実りの秋を迎え、新米もそろそろ食卓にという頃である。
今年の餅米のできはどうだろうか。
よい時候になってきたので、我が家の石臼の物語でもお話ししよう。
夫の父は農家のきかん気の四男坊。戦後、郵便局に勤めることになる。
夫の母はサラリーマン家庭の長女。
二人の出会いはそれなりにドラマチックであったらしいが、それを語ると長くなる。
二人が所帯を持つときは、ゼロからの出発で茶碗からそろえなくてはならなかった。
昭和２５年のことである。
夫が三つ四つになって、近所の悪ガキたちと遊ぶようになると、
深刻な問題が生じた。
周りの農家の子どもたちは強かった。
郵便局員の息子は立場が弱かった。
当時の子だくさん家庭の兄弟の絆は固く、
その中にサラリーマン家庭のちっちゃい子が一人仲間に入れてもらっていると、
何かと憂き目にあったらしい。
あけびを採りに行っても青くて小さいのしかもらえない。
芋掘りに行くと、生芋のしっぽの方だけ投げてよこす。
それをこっそり洗って食べようとしていたらしい。
……
裸馬を乗り回し近所の子をあまた従えていた父の子にしては情けない話である。
負けず嫌いの母がだまってそれを見ているはずがない。
さぞ、悔しがったことであろう。それは想像するに難くない。
近所の子がまんじゅうを食べていれば
まんじゅうの作り方を姑に習い、たらふく食べさせた。
近所の子が芋を食っていれば、
姑に芋を分けてもらい、たらふく食べさせた。
村に行事があるときは、近所のおばさんたちにすぐ教えてくださいと頼み、
ゆで餅やおはぎなど、息子が食いっぱぐれないように用意した。
そして、年末ともなればどこでも餅つきの音……しかし、これだけはどうにもならない。
臼がない。
夫の母は、餅米を蒸かしすり鉢に入れ、すりこぎで搗いた。
できた餅はざらざらしていて、餅と呼べる代物ではなかったらしい。しかも、すり鉢は……割れた。
……夫は、その食感を今でも覚えていると言う。
そこで、若い夫婦は考えた。
餅がなければ、息子がみじめな思いをするであろう。
実家にもらうこともできるが、それでは情けない。
我が家で子どもたちと餅つきがしたいものである。
石臼がなんとか手に入らないか……と。
……つづく。
そのあと行われた餅つき大会。
その中で大事な役割を担ったのが、我が家の大理石の臼。
なかなか立派な石臼とお褒めをいただいた。
実りの秋を迎え、新米もそろそろ食卓にという頃である。
今年の餅米のできはどうだろうか。
よい時候になってきたので、我が家の石臼の物語でもお話ししよう。
夫の父は農家のきかん気の四男坊。戦後、郵便局に勤めることになる。
夫の母はサラリーマン家庭の長女。
二人の出会いはそれなりにドラマチックであったらしいが、それを語ると長くなる。
二人が所帯を持つときは、ゼロからの出発で茶碗からそろえなくてはならなかった。
昭和２５年のことである。
夫が三つ四つになって、近所の悪ガキたちと遊ぶようになると、
深刻な問題が生じた。
周りの農家の子どもたちは強かった。
郵便局員の息子は立場が弱かった。
当時の子だくさん家庭の兄弟の絆は固く、
その中にサラリーマン家庭のちっちゃい子が一人仲間に入れてもらっていると、
何かと憂き目にあったらしい。
あけびを採りに行っても青くて小さいのしかもらえない。
芋掘りに行くと、生芋のしっぽの方だけ投げてよこす。
それをこっそり洗って食べようとしていたらしい。
……
裸馬を乗り回し近所の子をあまた従えていた父の子にしては情けない話である。
負けず嫌いの母がだまってそれを見ているはずがない。
さぞ、悔しがったことであろう。それは想像するに難くない。
近所の子がまんじゅうを食べていれば
まんじゅうの作り方を姑に習い、たらふく食べさせた。
近所の子が芋を食っていれば、
姑に芋を分けてもらい、たらふく食べさせた。
村に行事があるときは、近所のおばさんたちにすぐ教えてくださいと頼み、
ゆで餅やおはぎなど、息子が食いっぱぐれないように用意した。
そして、年末ともなればどこでも餅つきの音……しかし、これだけはどうにもならない。
臼がない。
夫の母は、餅米を蒸かしすり鉢に入れ、すりこぎで搗いた。
できた餅はざらざらしていて、餅と呼べる代物ではなかったらしい。しかも、すり鉢は……割れた。
……夫は、その食感を今でも覚えていると言う。
そこで、若い夫婦は考えた。
餅がなければ、息子がみじめな思いをするであろう。
実家にもらうこともできるが、それでは情けない。
我が家で子どもたちと餅つきがしたいものである。
石臼がなんとか手に入らないか……と。
……つづく。
2013-10-26 22:45
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コメント(9)
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ほほーっ いよいよやなあ！この話を待っとったんよ。
by みねばあ (2013-10-27 00:00)
＞愛を編むみねばあ様
お待たせしました。
昭和３０年代の農村の小さな物語です。
夫や義母からこんな話を聞くのはおもしろいですね。
ただ、農村出身の方でなければわかりにくいかも。
by ちはやママ (2013-10-27 00:20)
大理石の臼って、初めて見ました。
うちは、うちの山から出た青石で作った臼で、毎年正月の餅をついています。
by なんかん (2013-10-27 06:34)
大理石の石臼でついたお餅を食べた～～～～い(^^♪
by ケース家 (2013-10-27 07:46)
＞なんかん様
うちの山から出た青石……というところが青石の有名な所らしいですね。
きれいな臼だと想像しました。
我が家も毎年餅つきは臼と杵で。
餅つき機もあるんですが、倉庫で寝てます。
＞ケース家様
クリスマスのレースにちょっと来れば……なんて
悪いお誘いをしてしまうワタクシ。
大理石だから餅が変わるのかどうかは……どうなのでしょう？
by ちはやママ (2013-10-27 09:28)
今年のクリスマスレースもお邪魔させてもらいますので、よろしくお願いします。
ところで、レースは１２月２２日（日）でいいんですよね？
by 中津のビール飲み (2013-10-30 08:13)
＞中津のビール飲み様
レースは２３日になったようです。
我が家は、２３日は用事が入っており残念ながら参加かないません。
ホントにざんねん(;.;)仕方ないですね。
by ちはやママ (2013-10-30 21:28)
ちはやママ様
参加できないとは残念です。
自分はたぶんレースだけ参加させてもらって、レースが終わったら帰ることになると思います。
by 中津のビール飲み (2013-10-31 13:19)
＞中津のビール飲み様
親戚が集まることになっておりまして……。
重なっちゃったのは返す返すも残念。
レポートを楽しみにしていますね。
今週末はご一緒に参加するかも……ですよ。
by ちはやママ (2013-10-31 20:05)