SSブログ

合歓木(ネムノキ) [花や木]

夫の父は、九人兄弟の四男坊であった。
次男の伯父は東京に住んでいて、時折九州に帰省した。
あたたかなお人柄で、語る言葉は洗練されていて、すてきな伯父さんだった。


私の母方の祖母が、夫の父や伯父たちとはいとこになるので、
この伯父さんは会う度、思い出などを優しく語ってくださった。
夫は子どもの頃からこの伯父さんが大好きであったようで、
いろいろな思い出をもらったと話している。



ある年、伯父さんが夏に帰省されたが、そのとき、こう語ったことがあった。


「豊肥線に乗っていて、車窓からネムノキが見えるとね、
 ああ、帰ってきたなあと思うんですよ。」



P7291094.jpg




夏になるとたくさんのネムノキがピンクの花をつける。
私たちにはあたりまえの風景で、ネムノキなんぞは珍しくもなかったが、

「伯父さんにとって、ネムノキはふるさとの花だったんだな。」

と、それ以来、ネムノキは東京の伯父さんを偲ぶ縁となっている。



P7160860.jpg



今年もネムノキの花が咲いた。
いつもの岡城跡からも、あちこちにネムノキが確認できた。


P7160824.jpg



先日、夫と伯父さんの思い出を話しながら車を走らせていた。
あらためて、ネムノキが本当に多いことに驚いた。



P6204464.jpg



こちらでは雑木なのに、わざわざ残してあるとしか思えない場所、
例えば田んぼの近くや道沿いの土手にネムノキがある。
花が咲いている今は、ネムノキの多さがよけい目立つ。



P7160861.jpg



ネムノキを調べてみたら、様々な利用法があるようで、
中でも、「薬効がある」とは初めて知った。
花や樹皮を使って、
精神安定や不眠解消、利尿、強壮、鎮痛等の薬に利用したと言うから驚きである。
利用価値があるから、ネムノキを残してあるのだろうか。
この農村地域でどのように使われていたのかを知る機会が無かったので、
機会があったら誰かに聞いてみたいと思っている。



P6204462.jpg



今年、ネムノキの花が咲く7月の初め、
夫の父方の「いとこ会」開催を予定していた。
夫の父は九人兄弟だからいとこも多いし、日本各地、アメリカからも関係者が参加予定で、
別府のホテルも予約を入れてあった。

しかし、3月上旬には「中止」と早めの決断をした。


P7291084.jpg



またいつか大勢で集まって、思い出が語れる日が来ることを願っている。



P7160858.jpg


nice!(0)  コメント(2)