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稗田宰子「海のことば」 ヨットと少年の物語 [ヨット]

「犬のおまわりさん」からまだ「ヨット」に繋がっています。

(私は逗子や葉山を知らないので、今日の写真は最近大分港で撮ったもので……。)


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「海のことば」は、佐藤義美の弟子稗田宰子さんの1970年の作品。
小学校高学年以上が対象の小説。
稗田さんは、竹田市の佐藤義美記念館の寄贈者。
記念館設立後は竹田市に住んでいたそうです。
「海のことば」は、ちゃんと竹田市立図書館にありました。


               稗田さんのことは参考までに
                http://www.oct-net.ne.jp/yoshimi1/gaiyo.htm
                https://www.city.taketa.oita.jp/photo_news/?id=1759




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主人公は、小学校4年生の一郎。
ヨットを通して学んだことが
入院中のおかあさんへの「手紙」という形で語られていきます。


一郎はやさしいおじさんとおばさんにあずけられ、逗子に住むことになります。
ジュニアヨットクラブに入った一郎は、
様々な人に出会い、様々な事件に遭遇し、
海の美しさ、厳しさ、そこで生きるために大切なことを学んでいきます。
一度は行ってみたい逗子や葉山ですが、早く行ってみたくなりました。


おかあさんへの手紙は2月25日に始まり8月まで続きます。


ヨットクラブで一郎がディンギーの操船を学ぶ様子はなかなか興味深い。
先生や先輩の言葉には「なるほど」と思わせられます。
作者が関係者に丁寧に取材し、
子どもにもわかりやすく伝えたいと腐心したことがよくわかります。



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物語には、逗子で暮らす佐藤義美が登場します。
詩人の海やヨットへの思いが一郎の成長に繋がっていきます。
詩人が一郎への手紙で「海の言葉」という詩を贈ります。
童謡の歌詞とは違った趣のある詩です。


詩人のY15がレースで優勝したときのことも描かれます。
詩人は、クルーザーを手に入れたときは「アリス」という名前にしたかったなんて、
ここで初めて知りました。



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さて、一郎が遭遇したこととして
1960年代のヨット界の出来事が多く描かれています。

「トリマランの遭難」、「大学生のヨット遭難事故」
「米国人女性による女性初のヨット太平洋単独横断の達成」など。


実際にどんなことがあったのか気になってネットで調べると、
彼女が題材にした出来事や事故を推測することができました。
私がよちよち歩きの頃、ヨット界も大変なことが起きていたんですね。


調べているうちに 偶然
Y15を設計した横山晃氏の文章にも出会いました。
それも1960年代当時のヨットの遭難事故について述べたものでした。
        「海で生き残る条件」月刊舵誌1984年6月号の文章  
               https://www.aokiyacht.com/zen15/umideikinokoru-9/


稗田宰子さんは佐藤義美師の近くに居て、彼を取り巻く人々からも
当時のヨット事情について得ることが多かったのでしょうか。



1960年代なんて、私も夫も子どもで、ヨットとは全く無関係の時代。
でも、ちょっとだけヨットのことを知ることができた今、
興味深く読むことができました。



さて、今、北浜でディンギーを操っている子どもたちが
この作品を読んだらどう思うのかな。
指導のあり方など、現在とは違っているのかもしれません。


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1960年代、ヨットを素材に写真を撮り始めていた伊橋照美という女性カメラマンが
佐藤義美について書いた文章も読むことができました。
記念館にある詩人のセーリング姿を撮った人です。
この女性は、どんなふうにヨットの写真を撮っていたのかなあ。
また図書館で借りなくちゃ。



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ウォーキングで佐藤義美生家に出会って、
由学館で学芸員さんに佐藤義美とヨットのことを聞いて
記念館で「海のことば」に出会って、
そこから……横山晃さんの文章もしっかり読みたいし
伊橋照美さんのことももっと知りたいし……。


気になることが多すぎて
「こまってしまってわんわんわわん わんわんわわん」


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