舟が森を走る① 蝙蝠(こうもり)の滝 [歴史探訪]
このブログでよく登場する風景が「原尻の滝」。
雪舟の訪れた「沈堕の滝」も何度か紹介した。
いずれも別府湾に注ぐ大野川水系の滝である。
実はもう一つ、豊後大野市には有名な滝がある。
その名を「蝙蝠(こうもり)の滝」と言う。
写真をご覧いただこう。
なるほど蝙蝠の形と言えばその形である。
この滝は、原尻の滝や沈堕の滝のように
「ちょっと寄って見てこよう。」という場所にはないのが残念だ。
もうずいぶん前になるが、この春、国道沿いの神社に車を置いて、
蝙蝠の滝まで歩いたことがあった。
前の記事のお母ちゃんが育った場所、
発電所の取り入れ口の近くである。
ウグイスの声が響いて、新緑がまぶしい日だった。
棚田に続く細い道を歩いていくと、展望所の看板が出ている。
これまで何度も聞いた名前であるが、
実際に見るのは初めてである。地元なのに。
それだけ行くにはちょっと気合いの要る場所。
夫は前に来たことがある。
へえ、ここが蝙蝠の滝……と、滝を上からしばらく眺めていた。
さて、あの滝壺を傍から見てみたい。
さらに、山道を川の方へ下る。
川の傍まで下って、発電所の取り入れ口から行けると思っていたが近寄れない。
杉林の中をうろついて、やっとたどり着いた。
おお、ここが!
この日はマクロレンズしか持っていなくて、全体を捉えるのが難しかった。
滝の位置の関係で、正面はあの展望所からしか見られない。
何とか構図を決めようとするが……。
なるほど、岩肌は原尻の滝とよく似ている。
阿蘇溶結凝灰岩の堅い岩間を流れ落ちる滝。
天気の好い日が続いていたので水量は多くないが、
発電所もダムもなかった昔は、見事な滝であったろう。
原尻の滝、沈堕の滝、蝙蝠の滝と、本当に名瀑の多いところだ。
面白い景色だ。
大きな鯉もいるなあ。
でも、この蝙蝠の滝がすごいのは景色だけじゃない。
すんごい谷間に蝙蝠の滝はある。
滝の上流へさらに大野川を遡ると岡城跡のある竹田市。
竹田から大野川を使った舟路を切り拓いた先人のドラマが
この滝には残されている。
※広域が見られるようにスクロールしてください。
深い谷間にあることがよりわかります。
国道10号や豊肥線沿いを流れる大野川。
昔、豊後大野市犬飼から河口までは、舟が利用できるほど水量も多かった。
国道が整備されるまでは、舟が行き交う様が見られたという。
岡藩の殿様も、犬飼まで出て船に乗って川を下った。
蝙蝠の滝はそのはるか上流だ。
「こんなところに舟を通そうとしたなんて。」
聞いたことはあったが、現場を実際に見てみると、
車社会に生きている私たちの生活からは考えられないような苦難があったんだなあと
しみじみ感じたことだった。
舟路のことについて勉強した成果はまた次で……。
雪舟の訪れた「沈堕の滝」も何度か紹介した。
いずれも別府湾に注ぐ大野川水系の滝である。
実はもう一つ、豊後大野市には有名な滝がある。
その名を「蝙蝠(こうもり)の滝」と言う。
写真をご覧いただこう。
なるほど蝙蝠の形と言えばその形である。
この滝は、原尻の滝や沈堕の滝のように
「ちょっと寄って見てこよう。」という場所にはないのが残念だ。
もうずいぶん前になるが、この春、国道沿いの神社に車を置いて、
蝙蝠の滝まで歩いたことがあった。
前の記事のお母ちゃんが育った場所、
発電所の取り入れ口の近くである。
ウグイスの声が響いて、新緑がまぶしい日だった。
棚田に続く細い道を歩いていくと、展望所の看板が出ている。
これまで何度も聞いた名前であるが、
実際に見るのは初めてである。地元なのに。
それだけ行くにはちょっと気合いの要る場所。
夫は前に来たことがある。
へえ、ここが蝙蝠の滝……と、滝を上からしばらく眺めていた。
さて、あの滝壺を傍から見てみたい。
さらに、山道を川の方へ下る。
川の傍まで下って、発電所の取り入れ口から行けると思っていたが近寄れない。
杉林の中をうろついて、やっとたどり着いた。
おお、ここが!
この日はマクロレンズしか持っていなくて、全体を捉えるのが難しかった。
滝の位置の関係で、正面はあの展望所からしか見られない。
何とか構図を決めようとするが……。
なるほど、岩肌は原尻の滝とよく似ている。
阿蘇溶結凝灰岩の堅い岩間を流れ落ちる滝。
天気の好い日が続いていたので水量は多くないが、
発電所もダムもなかった昔は、見事な滝であったろう。
原尻の滝、沈堕の滝、蝙蝠の滝と、本当に名瀑の多いところだ。
面白い景色だ。
大きな鯉もいるなあ。
でも、この蝙蝠の滝がすごいのは景色だけじゃない。
すんごい谷間に蝙蝠の滝はある。
滝の上流へさらに大野川を遡ると岡城跡のある竹田市。
竹田から大野川を使った舟路を切り拓いた先人のドラマが
この滝には残されている。
※広域が見られるようにスクロールしてください。
深い谷間にあることがよりわかります。
国道10号や豊肥線沿いを流れる大野川。
昔、豊後大野市犬飼から河口までは、舟が利用できるほど水量も多かった。
国道が整備されるまでは、舟が行き交う様が見られたという。
岡藩の殿様も、犬飼まで出て船に乗って川を下った。
蝙蝠の滝はそのはるか上流だ。
「こんなところに舟を通そうとしたなんて。」
聞いたことはあったが、現場を実際に見てみると、
車社会に生きている私たちの生活からは考えられないような苦難があったんだなあと
しみじみ感じたことだった。
舟路のことについて勉強した成果はまた次で……。